肩こりの治療
「肩こり」とは主に、後頭部から肩(肩甲骨や鎖骨)にいたる部分にある筋肉が異常に緊張することによって起こる違和感や痛みなどの症状と言えます。
私たちは、歩きすぎた時には脚の筋肉が疲れ、また腕や指先に力の入る作業を長く行うと、腕の筋肉が疲れたり張ったりすることがあります。肩こりの症状は、腕や脚で起こる症状に似ているかもしれません。そのせいか、「肩こりは酷いけれども、病院にいくほどでは・・・」と考える方もいらっしゃることでしょう。でも、実はその肩こりの裏に、別の病気が隠れている場合だってあるかもしれません。
ここでは、肩こりを引き起こす原因と、その原因別に見られる症状についてお話します。
筋肉疲労による肩こり
肩が脹る、肩が重い、肩の上に鎧を載せられたよう、首から肩にかけてセメントで固められたよう
この肩こりの原因は、筋肉の疲れや過緊張、負担のかかりすぎ、筋肉の中での血行不良によることが多いです。また、夏の暑い時期、冷房の近くにいる、あるいは薄着をして頸(くび)から肩の皮膚が見えるような服装をしていると、筋肉自体が冷やされます。すると、肩周辺の筋肉の中の血管が細くなって血行障害を起こし、筋肉が硬くなってしまうことから肩こりを訴える方もいます。
後頭部から鎖骨、肩甲骨周辺、さらには背中まである筋肉での問題や異常が、これらの症状を引き起こします。
この症状にあてはまる人は、筋肉疲労による肩こりの原因をご覧ください。
頸の骨や周辺の血管・神経の問題による肩こり
頸(くび)全体(前側も含めて)が脹って締め付けられたような感じがする、頸から背中にかけての背骨も重苦しく感じる、横になっていれば楽なのに、起き上がると頸の骨にズンと重さを感じる、頭痛を伴う肩こり
背骨に問題があって起こる肩こりでは、「筋肉疲労による肩こり」で挙げたような肩の症状に加えて、以上のような症状が見られます。
ひどくなると肩や腕、あるいは手にかけてシビレるような感じや、物に触れても鈍く感じる、熱いものや冷たいものに触れても温度を感じない、あるいは手や指先、腕に力が入らない、場所によっては脚のシビレや動きがぎこちないなどの症状が現れたりします。
もちろん、このような症状が出てくると重症ですので、すぐにでも整形外科を受診することをお勧めします。
この症状にあてはまる人は、頸の骨や周辺の血管・神経の問題による肩こりの原因をご覧ください。
歯のかみ合わせ不良、顎の関節の問題に由来する肩こり
「筋肉疲労による肩こり」と同様、加えて頸(くび)の前側でも脹った感じがする、口を大きく開けられない、口を開けると耳の前側で「カクッ」と音がする、口を開けると痛いなど
歯のかみ合わせが悪くて食べ物を噛むときに下顎の骨がずれたり、顎関節症などによって顎の痛みを感じる場合にも、肩こりが伴います。
その肩こりの症状や原因は、先の「筋肉の疲労などによる肩こり」とほぼ同じなのですが、顎関節周辺にも症状が伴ってきます。これらの顎周辺の症状は、耳の前側にある顎関節自体に問題がある場合と、食べ物を噛む(咀嚼:そしゃく)ときに使われる筋肉が異常に緊張していることに由来します。
また、下顎の骨を動かすときは、頸の周りの筋肉も一部役割を果たしているため、下顎の骨が動く咀嚼運動に問題があると、頸の筋肉にも影響が及びます。
この症状にあてはまる人は、歯のかみ合わせ不良、顎の関節の問題に由来する肩こりの原因をご覧ください。
頸部や胸にある臓器に問題があって起こる肩こり
鎖骨や肩甲骨周辺が何となく重だるい、マッサージをしてもあまり楽にならない、肩以外でも何かすっきりしないものを感じるなど
胸、正しくは胸郭(背骨と肋骨で囲まれた部分)や頸部にある臓器に問題がある場合でも、肩こりが見られる場合があります。その臓器とは、胸郭では主に心臓、肺、大動脈、頸部では甲状腺が挙げられます。
狭心症や心筋梗塞などの心臓病では一部の方で、特に左肩やその周辺から胸にかけての痛みを感じるようです。
ただ、心臓が酸欠を起こしていない状況では、肩に症状が出ないこともあり、肩こりとしては慢性的なものではないようです。
また、肺に病気のある方では、問題のある肺と同じ側の肩に症状が出てきます。この場合は、筋肉が脹るというよりは、何となく肩全体が重いと感じるようです。もちろん、肩以外の部分にも症状を伴うことがあります。
この症状にあてはまる人は、頸部や胸にある臓器に問題があって起こる肩こりの原因をご覧ください。
スポンサードリンク