筋肉をほぐす
「こり」の悪循環を断ち切ろう
肩こりに限らず、こった状態になっている部分の筋肉は、次のような悪循環に陥っています。
- 色々な原因で筋肉が硬くなる
- その硬くなった筋肉が血管を圧迫して血行障害をもたらす
- こりと血行障害が痛みをもたらし、防御反応としてさらに筋肉が収縮する
さらに、筋肉のこり状態と痛みの刺激は脳に伝わって、自律神経のうちの交感神経を刺激、筋肉の緊張は更に強くなって、血管も細くなってしまいます。これも、こっている部分以外の筋肉を硬くしてしまうという、悪循環につながります。
筋肉をほぐすことは、この悪循環を断ち切ることが重要です。「適度に姿勢を変える」のところで挙げたストレッチも、筋肉をほぐす一つの方法です。その他の方法として、次の方法があります。
低周波治療器を使う
筋肉は、「神経」という脳や脊髄からの電気信号を受けて、収縮したり弛緩(力がぬけて緩んだ状態)したりしています。この神経からの電気信号の代わりに、低周波治療器を使って筋肉を周期的に収縮させて、筋肉をほぐします。
筋肉は、収縮と弛緩を繰り返すとポンプのような働きをするので、血管を周期的に圧迫して血行をよくします。すると、次のようになります。
- 疲労物質や痛みの元になる物質を洗い流す
- 筋肉が温まってさらに血行がよくなる
また、血行と同時に神経にも作用するので、
- 痛みが軽くなり、自然と筋肉の緊張がゆるむ
- 脳へ刺激が伝わり、脳内麻薬と呼ばれるような物質が出されて痛みが軽くなる
などなど、痛みとこりの悪循環、両方に効果をもたらします。
ただし、低周波治療器の周波数や刺激の強さ(ミリアンペア)が強すぎたり、低周波治療器を使う時間が長すぎたりすると、筋肉が傷ついてしまって、別な痛みを引き起こしますので、注意しましょう。
マッサージする
筋肉の収縮と弛緩が血管を周期的に圧迫して、血行をよくすることが、肩こりの緩和につながります。この筋肉の収縮を、指や他の方法による圧迫にかえたものが、マッサージです。
肩こりなどの筋肉のこりを、マッサージで解消する場合には次のことに気をつけます。
- 痛くない範囲の揉み方や強さにする
- 椅子の背もたれや布団などに全身の重さをあずけて、マッサージする筋肉の力を抜いて行う
- はじめのうちは、軽めのマッサージにとどめておく。翌日に、マッサージした部分が痛くないような範囲で、徐々にマッサージの時間と力の強さを加減していく
肩こりが酷い方ほど、一度のマッサージで何とかして肩こりを解消しようと頑張ってしまいがちです。
けれど、結局は力を加えて筋肉を押すことですから、あまり長時間、強い力で筋肉を押しすぎると、筋肉が傷ついてしまって、「揉み返し」と呼ばれるような、それまでの肩こりよりも酷い痛みやこり、更には炎症を起こすことがあります。
筋肉の状態を意識して自分でコントロールする
肩こりに限らず、こりや痛みを感じる部分では、その症状への防御反応として、自然と呼吸を止め全身の筋肉に力を入れてしまうことが多いのです。それだけではなく、「痛い」という刺激がストレスにつながってこりを酷くしたり、自律神経を刺激してより全身を緊張させてしまったりと、ここでも悪循環を起こしてしまいます。
そこで、呼吸法を併用して筋肉をじっくりと伸ばし、自分の身体の状態を知り、それをコントロールする方法があります。その代表例が、「ヨガ」です。
ヨガは、筋肉を十分にストレッチさせる以外にも、色々な効果があります。
- ゆったりとした腹式呼吸を続けて、全身の緊張を緩める(自律神経に作用します)
- ストレッチ中とその前後で、筋肉の状態に意識を集中することで、自分の筋肉の状態を知りコントロールできるようにする
- 普段、動かすことの少ない関節を動かし、伸ばすことの少ない筋肉を伸ばして、全身の血液循環を促進する
- ゆったりとした動きで、ストレスを解消する
最近では、ミストサウナの中で行う「ホットヨガ」もあります。ミストサウナの温かさや発汗促進効果で、血行が更によくなると同時に、新陳代謝も活発になりますよ。