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血行を良くする栄養を摂る

食事で、こりにくい筋肉を作ろう

 人間の身体のつくりと体調の良し悪し、さらに身体の老化や若々しさは、食事の内容と無縁ではありません。

 肩こりについても、ストレッチやマッサージなどで筋肉のこりや緊張をいくらほぐしても、筋肉自体がダメージを受けていればこりは再発しますし、血管や血液の状態が思わしくないと、結局は酸素不足、栄養不足で筋肉は疲れやすく、またこりやすくなってしまいます。

ここでは、

などについて、お話します。



筋肉を良い状態に保つ―栄養素:たんぱく質

食品:大豆タンパク(豆腐、納豆、豆乳 など)

 肩こりを含めて、筋肉がこってしまう理由に、筋肉にできた小さな傷があります。皮膚でも同じなのですが、筋肉にできた小さな傷は、自然に修復する過程で一時的に固くなってしまうのです。スポーツをやりすぎて筋肉痛を起こした部分を触ると、「コリコリ」と筋肉が固まったようなところを感じるかと思います。

 このような場合を含めて、筋肉の細胞の生まれ変わりや再生を手助けする栄養素であるたんぱく質を摂る事で、筋肉の代謝を維持・促進して、常に筋肉の細胞が新鮮な状態でいられるようにすることも、重要なのです。



乳酸の生成を抑える―栄養素:クエン酸

食品:酢、梅干、柑橘類(レモン、グレープフルーツなど)

 人間の運動には、「有酸素運動(有酸素性代謝)」と「無酸素運動(無酸素性代謝)」とがあります。このうち、「無酸素運動」では、筋肉の中で多くの乳酸が作られます。

クエン酸は、筋肉の収縮の過程で、この乳酸が作られるのを防ぐ役割を持っています。

 筋肉が収縮するためには、エネルギー源としてATP(アデノシン3リン酸)が必要です。筋肉の収縮する強さに応じて、このATPの必要量は増減します。

 このATPですが、最初に酸素を使わずに糖質(ご飯などの炭水化物)を代謝して作り出します。そのときにできた物質をピルビン酸といいますが、その後の過程で酸素が十分に供給されないと、ピルビン酸が乳酸に変化してしまいます(これが、「無酸素運動」です)。

 ところが、そこで十分な酸素が送り込まれ、またピルビン酸を代謝する回路(TCA回路)が十分に回転すれば、すべてではありませんがピルビン酸は乳酸にはならず、最終的に炭酸ガスと水になります。(これが、「有酸素運動」です)

 クエン酸は、このTCA回路の回転をスムーズにしてくれます。それによって、疲労物質の生成や蓄積が抑えられるので、肩こりを予防したり改善したりできるのです。



乳酸のリサイクルを促進する―栄養素:ビオチン(ビタミンH)

食品:たまねぎ、いわし

 先ほど述べた、筋肉活動のエネルギー源ATPを作り出す過程の中で、実は少なからず乳酸は精製されているのです。しかし、その乳酸は血液にのって肝臓へ運ばれ、再度糖質に生まれ変わって、また筋肉へと送り込まれています。これを「糖新生」といいますが、ビオチン(ビタミンH)は、これを助けています。



血管を広げる―栄養素:シトルリン

食品:西瓜など

 血管は、自ら広がろう(血管の中を広げて、血液をより多く流そうとする変化)とする力を持っています。それは、血管の内側にある細胞が、血管を広げる物質(一酸化窒素)を作り出して放出するためなのですが、シトルリンはこの一酸化窒素の産生能力を高める作用があるといわれています。

 日本では、最近になってやっと、サプリメントでの販売が認められるようになったので、まだあまり出回ってはいないかもしれません。



血液をサラサラにする―栄養素:ビタミンE

食品:アーモンド、かぼちゃ など

 ビタミンEは、別名「トコフェロール」とも呼ばれます。ビタミンEの血管や血液への効果には、2種類あります。

 一つ目には、毛細血管を広げて、血行をよくする作用があります。

 二つ目としては、悪玉コレステロールが酸化されることを防ぐので、血液がドロドロになったり、血管の壁に張り付いて血栓を作り出すことを、防いだりします。



その他の栄養素

 このほかに、ビタミンCやミネラルのセレニウムなどは、強い抗酸化作用をもっていて、身体の細胞を攻撃する活性酸素を除去して血管や血行を良くする働きがあります。

 また、ビタミンB12と葉酸(ビタミンM)は共同で働き、組織へ酸素を運ぶ赤血球の生成を助けています。




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